そうしながも学校外に出たはいいのだが。


「あ、未来ちゃん!生きてる!?大丈夫!?」


切羽詰まった声とは裏腹に、前方から歩いてくる菜穂姉と鉢合わせしてしまった。


「な、菜穂姉」


見た瞬間、反射で肩が跳ねてしまった。


何て事だ。出来るなら今は会いたくなかった。


此方が立ち止まっても自然に相手とは近くなっていく。菜穂姉の視線は明らかに彼を見ていて、不審なものを見るかのよう。


「こんばんは」


「こんばんは。……えっと、もしかしてピアノが上手い子……?」


彼は礼儀正しく先手を切るも、菜穂姉の眼差しは変わる事はない。


よほど怪しんでいるのかそれは私に向けられた。