箱庭ラビリンス



誰が羨ましい。誰が悪い。そうやって生きてきた。そうしないと生きれなかった。自分が嫌いでそのくせ自分が大切だったから。


熱を持つ頬に手をやるでもなく、奴を見上げた。膝は笑いを止めてはくれなかったが踏ん張った。


全部じゃなくとも少しは分かるよ。だって、私だって母さんにそうやって八つ当たりをしていたんだもの。


「……これで、満足?」


「っ――!」


わざと煽るように低く言い放てば悔しそうに歯軋りする。


人に当たるしか知らないんだ。私もコイツも。それだけは分かってたよ。けれど目を反らしていたんだ。


「こ、のっ」


「!!」


また腕が振り上げられ、身を固くして目を閉じた。時。


「未来!!」


声が私を抱いた。