箱庭ラビリンス



「っ~~!」


目を大きく見開いた目の奥の奥に映るのは白い羽が赤く染まった鳥。


まだ動いていた。小さく、痙攣するかのように、小さく。生きたいと叫んでいた。


私は奴がまだ更に傷つけようとナイフを振り上げようとしたのを一秒だって見逃さなかった。


『っやだ、やだやだやだっ!止めてよ智くん!』


それを間に入って止めたのは私。


奪い去るように飛び込み、庇って滑るように転んで、放置されていた鉄骨で強く肩を打った。


『――……駄目だろ未来、僕の邪魔しちゃ』


覚えてる。


そう言って私の腕の中の鳥を奪い去ろうとした事。どうやっても離さない私を蹴った後に放って帰った事も、いつの間にか動かなくなっていた鳥を手がボロボロになってまでも埋めてあげた事も、ぶつけた肩の重い痛みも全部。


私は奴が嫌いだった。大嫌いだった。


ギリリと歯を食い縛り、冷たく手を払った。


「――……何が。何がしたいんだお前は……」