「愛してる」、その続きを君に



「お父さん!天宮くんはおうちが豊浜で、ここから電車で片道1時間以上もかかるのよ。お手伝いしてもらったら、帰るのが遅くなっちゃうじゃない。悪いでしょ!」


綾乃は何が何でも反対のようだ。


「じゃあ、こうしたらどうかしら」


ニコニコと相槌を打っていただけの夫人がひらめいたように手をたたいた。


「その日は、このうちに泊まっていただくのよ」


その突拍子もない言葉に、さすがにそれは…と信太郎が口を開きかけた時、「それはいい」と児玉が大きく頷いた。


「綾乃だって、天宮くんが泊まっていってくれたら嬉しいだろ?」


と彼は子どものようにペロリと真っ赤な舌を出した。


「お父さん!!」


とぼけた顔をして児玉は天井を見上げる。


「ご心配なく、遅くなっても帰れますから」


信太郎がそんな父娘の間に割って入った。


「そう?がっかりだわ、泊まっていってくれたらいいのに。まるで息子ができたみたいで楽しきなりそうだったのに」と頬に手を当て、児玉夫人が残念そうに言った。


「そうだ天宮くん、私の書斎に来てみないか?まだまだいろんな天体写真があるんだよ」


娘の厳しい視線から逃れるように、児玉は信太郎を誘った。


「ぜひ」


目を輝かせながら彼がすっくと立ち上がると、皆が一斉に笑った。


その笑いの意味がわからず、彼は綾乃を見る。


「天宮くん、せめてお茶を飲んでしまってからにしたら?」


彼女はそんな背の高い信太郎を、いとおしそうに見上げた。