「愛してる」、その続きを君に



細長い月が窓から部屋をのぞきこんでいるみたいだ。


星のかすかな瞬きさえも、この豊浜ではわかる。


けれど残念ながら、夜の海の表情はここからではわからない。


夏海は目を閉じ耳をすませた。


小さく開けた窓のすきまから聞こえる波の音で、彼女には今夜の海の様子を思い描いた。


よかった、今日の海はご機嫌だ、そう心の中で呟くと、彼女はそろそろと自分の胸に手をやった。


とくん、とくんと弱々しく脈打つ心臓。



それでも必死に生きているという証。


胸に置いた手が呼吸に合わせてゆっくりと上下するのを感じながら、夏海は一粒の涙を落とした。


「信ちゃん」とその唇が動くが声にはならない。



彼女は必死で心の声をあげた。