「信ちゃんから、手紙来てない?」
「夏海」
克彦は信太郎を恨めしく思う。
こんなに返事を待っているのに、彼は葉書一枚寄越してはくれない。
何をやってるんだ、あいつはと下唇を噛んだ時だった。
夏海が息も絶え絶えの中、言ったのだ。
「判決、今日出たんだよね」
克彦は背をさする手を止めた。
「教えて、どうなったの」
夏海が顔をのぞきこんでくる。
顔色も悪く、やせこけているのに目だけはぎらぎらとしている。
「懲役3年2ヶ月だそうだ」
搾り出すように克彦は答えた。
「3年2ヶ月…そう、結構長いんだね」
あれほどの光を放っていた瞳が、一瞬にしてくすんだように見えた。
この命が、それまでもたないと思ったに違いない。
「控訴はしないそうだよ」
「そうだろうね、信ちゃんならしないよ」
「服役態度がよかったら、刑期より早めに出てくることもあるって聞いたことがあるぞ」
慰めるように克彦は言った。
「あの信ちゃんの態度がいいわけないじゃない」
精一杯の強がりか、彼女は小さな笑顔を作った。


