「じゃあ、児玉さんはさ」
便箋を彼女に返しながら、雅樹は唇の端を歪めた。
「手紙を出さない方がいいって自分の中で結論が出てるのに、どうしてわざわざ俺に出すべきかどうかなんて訊いたのかな」
綾乃の顔を見て、改めて「人形のようだ」と彼は思う。
「私の独り善がりじゃいけないと思って。あなたの意見を聞いて、私の気持ちも変わるかもしれないじゃない。あなただって私も夏海さんを傷付けたくないって思ってるでしょ。だから彼女のために私たちのできることをしたいの」
「で、俺に訊いて変わったの?手紙を出すべきじゃないって考えは」
「あなたの意見を聞いても、やはり出すべきでないと思う。だって今のあなた、何もかもなげやりな気がする。そんな人の意見を聞いても参考にならないもの」
雅樹はふふっと鼻で笑うと、空を見上げた。
「だったら、君の好きなようにすればいいじゃないか」
「ほら、やっぱりなげやり」
「……」
横顔に綾乃の痛いほどの視線を感じて、雅樹は「何?」と視線を向けた。
「あなたを見てるとつらいの」
綾乃がそう言った。


