「愛してる」、その続きを君に



綾乃がカーテン越しに話しかける。


「iPod持って来たの。入ってもいい?」


待ってましたとばかりに、夏海は招き入れる。


ひょっこり顔を出した綾乃を本当に美人だと思う。


「わぁ、ありがとう!テレビ観ててもつまんないし、2時間ドラマなんて、私すぐに犯人わかっちゃうから、おもしろくないのよね」


口をとがらせる夏海に、綾乃は真っ赤なiPodを手渡した。


「私使ってないから、お気のすむまでどうぞ。入ってる曲が気に入るかどうかはわからないけれど」


「クラッシックとか入ってるんでしょ?」


「残念ながら1曲も入ってないわ。レゲエが入ってたと思う」


「えー!意外!そういうのも聴くんだ」


すでに二人はうち解けていた。


ずっと前からの親友であるかのように。


きっとそれは信太郎を共に想うことで結びついているのだろうと夏海は解釈していた。


彼女となら信太郎の話をすることができる。


遠慮せずに、彼への想いを口に出すことができる。


綾乃も同じ気持ちなのだろう。


夏海が信太郎の話題を持ち出すと「あら、私と付き合ってるときは…」などど、しらっと口にするのだ。


それがおかしくて、夏海はわざと彼の話を持ち出す。


「あ!これ信ちゃんが好きな曲だ」


片方の耳にイヤホンをつけて夏海は言う。


「え?どれ?」


綾乃ももう一つのイヤホンを耳に当てる。


「違うわ、天宮くんはこっちのほうが好きだったのよ」と負けじとそう言って、曲を先に送る。


「えー違うって。信ちゃんはね…」


「まぁまぁ、賑やかなこと。何の話をしてるの」


隣の千鶴が新聞を読むのを止めて、おかしそうに笑った。