まっすぐに見つめ返すその不思議な色の瞳があまりにも美しすぎて、夏海は目をそらした。
綾乃はまだ信太郎を想っている、そう思った。
女の勘、何よりも同じ人を想う女同士にしかわからない独特の雰囲気。
夏海は一息つくと、信太郎の身に起こったことを話し始めた。
その間、綾乃は表情を決して崩そうとはせず、瞳は夏海をとらえたままだった。
話している最中、もし信太郎と綾乃があのまま付き合っていたら、こんな事にはならなかったのではないか、と夏海は思った。
自分の誕生日を祝うことさえしなければ…
あの夜、彼を一人で送り出してしまったことを今まで悔やんでいたのに、綾乃が現れたことで、自分が信太郎の恋人であったこと自体が間違っていたのではないかと思い始めたのだ。
すべてを話終えた夏海は目を伏せた。
きっと綾乃はこの自分を責めているにちがいない。
「父が…」
彼女の細く震える声が夏海に届く。
「父が…天宮くんの罪が軽くなるよう、裁判で証言したいと言っています…」
「児玉さんのお父さんが?」
「ええ。天宮くんはよく父のために天体観測のサークルを手伝ってくれていました。子どもたちにも人気があって…だから彼のそんな人柄をわかってもらえるなら…と」
「そうなんだ…信ちゃん、星が好きだったからね」
突然、夏海の目から涙がこぼれ落ちてしまった。
「佐々倉さんが嫌でなければ、私も証言させてください。天宮くんは本当に優しい人です」
そうなのだ、信太郎は優しい人なのだ。
いい加減なところがあって、口ばっかり達者で、でも照れ屋で優しくて…
それをわかってくれている人が、今ここにいる。


