「…俺が!」
「マーくん?」
「俺がなっちゃんのそばにいます…!信太郎の代わりに俺が!」
そんな彼の瞳を見た克彦は、申し訳なさでいっぱいになった。
この青年もまた、夏海を想ってくれているのだと確信したからだ。
「いいんだ、マーくん。その気持ちだけで嬉しいよ」
「いさせてください、お願いします。なっちゃんのそばにいたいんです!」
頭を下げる雅樹に、克彦は「顔をあげて」と言った。
「マーくん、俺はね、もう辛い想いをする人を増やしたくないんだよ。だからさ、夏海のことは気が向いた時に見舞ってやってくれないかな…それで充分だよ」
「いえ、俺は毎日行きます。毎日なっちゃんに会いに行きます」
「だけど…」
「困らせてすみません。でもたとえ、会うな、と言われても俺は行きます。なっちゃんを支えたいんです」
参ったな、そう呟く克彦に、雅樹は再び頭を下げた。
「すみません、話の途中で。実習の時間なので、失礼します」
小走りにホールを横切っていく青年の後ろ姿に、克彦は何度も首を横に振った。


