「愛してる」、その続きを君に



それから夏海は毎週末、恵麻のマンションを訪れた。


父には恵麻のところに行くとは伝えていたが、特に克彦から何かを言われることはなかった。


無論、そこには信太郎がいることを知っているにもかかわらずにだ。


何を言っても、もう娘を止めることはできないと思っているのか、それとも信太郎のことを受け止めてくれているのか、そのあたりのことを克彦は態度にも出さない。


多少のうしろめたさを感じながら、夏海は克彦の食事を用意してから家を出る。



恵麻のマンションのキッチンを借りて、夏海は3人分の夕食を作った。


たいてい昼間は恵麻は出かけているし、信太郎は予備校の自習室にいる。


が、夜になると一緒に楽しく3人で食事をとることが、土曜日の習わしとなっていた。


後片付けをすませると、信太郎はリビングで夜中の2時近くまで勉強をし、夏海は彼の部屋で本を読んだりしてひとりで時間を過ごす。


12時を過ぎると自然と瞼が重くなり、ベッドでうとうとしてしまう。


頑張って起きていようとするも、睡魔には勝てず、眠ってしまうのだ。


そこに決まって2時過ぎに信太郎が夏海の眠る傍らに滑り込んでくる。


その気配に半分寝ぼけながら、「お疲れさま」と彼女が言うと、信太郎が優しくキスをして抱きしめてくれるのだった。


その胸の広さと温かさに安心し、再び夏海は眠りに落ちてゆく。


信太郎も夏海の存在を直に感じながら、眠る。


それが何ともいえず、二人にとって満ち足りた時間だった。