「あのな、カッちゃん。信太郎は大学に入れるかどうかもわからないし、入れても卒業までだいぶんかかるぞ。それまで…」
「あいつは待つ。夏海は何年だって待つ。だから…」
いやぁ、それは…そう言ったきり、研一は黙りこくってしまった。
気まずい雰囲気がしばらく流れる。
その場を取り繕うように、恵麻が焼酎の瓶を指で弾いた。
「まぁまぁ。おじさんもお父さんも。それは本人同士が決めることなんだから。ね?親が口を出すことじゃないのよ。さっ、飲も飲も」
「知らなかった…」
恵麻の話に夏海は身体中が熱くなるのを感じた。
父の自分への思いに感謝するとともに、どうしてそんな早まったことをするのか、と恥ずかしく、そして責めたい気持ちもある。
「うちのお父さんも気にしてるの。信太郎がなっちゃんを束縛してるんじゃないかって。いい話があったんでしょ?それを全部断ったのは、信太郎のせいじゃないのかって」
そう言った恵麻は何とも言えず切ない顔をしていた。
「ごめんね、なっちゃん。でも、あいつにもなっちゃんしかいないの。あの子のそばにいてあげて…」
わかってる、自分だって信太郎以外に考えられない。


