「愛してる」、その続きを君に



「ね、なっちゃん。今からどうするの?よかったらうちに泊まってってよ。話したいこといっぱいあるのよ」


「いや、でもお父さんが知ったら怒られちゃう、迷惑かけてって」


「大丈夫よ。克彦おじさんだってうちでよく酔っぱらって大騒ぎしてるんだし」


「そうだけど、でもちょっと…」


「大丈夫!信太郎はリビングのソファーで寝かせるから。おじさんに何か言われたら、私がやましいことはなかったって証言するし」と恵麻は夏海の手を取り、さっさと歩き出した。


「ちょっと待てよ!なんで俺がソファー?」


信太郎も後に続く。


男のいる部屋に泊まる、それを気にして信太郎は何度も姉の背中に「それはまずいだろ」とぼやいたが、彼女は全く聞こえていないかのように振り向きもしなかった。


駅から歩いて5分ほどの距離のところに、恵麻のマンションはあった。


「さ、入って入って」


鍵を開けると、恵麻は大きくドアを開いた。


「あ…じゃあお邪魔します」


先に中に入るように促された夏海は誰にともなく何度も会釈をしながら、玄関へと足を踏み入れた。


リビングに通され、ソファーに座るように言われる。


どぎまぎしていると、いつの間にやら紅茶が目の前に出されていた。


「緊張しちゃってる?」


からかうように恵麻は訊くと、彼女の目の前に腰を下ろした。


「広いね、ここ。信ちゃんと二人で住んでるんだよね」


「うん、2LDKでね。あいつ今年も居候させてくれって、1円も家賃、光熱費払わないんだから」


「出世払いでって言っただろ?」


「それは出世する見込みがある人が言うもんなの」


ちぇっ、と小さく舌打ちすると、信太郎はふてくされたように自室に入っていった。


それを見届けると、声を低くした恵麻が急に身を乗り出してきた。