「愛してる」、その続きを君に



改札を出ると、人混みの中でもひときわ目立つ背の高い男が手を挙げた。


嬉しさのあまり、夏海は走り出す。


「信ちゃん!」


人をかきわけ、彼女は頬を上気させ彼の前に立った。


「おまえさ…」


信太郎はそんな彼女の頭にそっと手を置くと「飼い主見つけた犬みたいだな」と言った。


「は?犬?信じらんない!せっかく久々に会えたのに」


ぷぅと口をとがらせると、彼はまぁまぁと言いながらもまた笑う。


「それにしても荷物が多いな」


夏海の持つ大きな紙袋に気付いた彼が上からのぞきこんだ。


「じゃじゃーん、これね、お弁当」


「マジで?」


その顔が子どものようにキラキラと輝く。


「どうせロクなもの食べてないんでしょ?」


「ナツさま、サンキュー!」


その紙袋を受け取ると、彼はもう一度中をのぞきこむ。


「どこで食べる?」


「恵麻のマンション…」と言いかけて、それはマズイな、と慌てて打ち消す。


「公園とかないの?」


「ないこともないけど、豊浜じゃないからな…」


二人は近くの公園に行ってみたが、小さな滑り台と公衆トイレがあるだけのものだった。



「トイレの近くはちょっとねぇ」と苦笑いすると、彼らは少し歩き、郊外のショッピングモールのフードコートに足を運んだ。


昼時とあって、家族連れなどでかなり混雑していたが、二人分の席はなんとか確保できた。


信太郎は「ずっとコンビニ弁当でさ」と言いながら、嬉しそうに箸を動かす。


「恵麻おねえちゃんに頼めば?」


「勘弁してくれよ、恵麻のやつ、てんで料理はダメ。食べようもんなら腹こわして即入院だって」


大げさな、と夏海は言ったが、自分の作ったものをおいしい、おいしいと言ってくれる信太郎の顔を見ると、満足感で頬が緩んだ。