「愛してる」、その続きを君に



最近、胃がよくもたれる。


自然に食べる量も減って、体重もそれに比例するように落ちた。


「いいよ、行かない。それに私は酔っぱらったお父さんを迎えに行かなきゃいけないから」と彼女は断った。


「くれぐれもおばさんに迷惑かけないでよね」


そう念を押して家を出た。


太陽が眩しい。


空を見上げるとつい目を細めてしまう。


きっと信太郎も、ビルに切り取られているものの、この澄んだ青空を見上げているに違いない。


彼と繋がっている。


同じ空の下にいる。


なんて幸せなんだろう。


坂を下る夏海の自転車が、海から吹く風をきった。


ゴールデンウィークには彼に会えるのだ。


そう思うと、下り坂でも彼女はペダルをこぐ足に力を入れた。


ぐん、とスピードがあがる。


もうすぐ、もうすぐ会える。


風が頬を撫でると、信太郎の笑顔が目の前に浮かんだ。


その日の昼前、夏海はあまりの胃の不快感にトイレに駆け込んだ。


吐きたくても吐けない。


喉の奥に指を突っ込んではみたものの、何も出てこなかった。


当然持ってきていた弁当も食べる気がせず、包みを開くことすらしなかった。


どうしたのだろう、風邪気味なのだろうかと、時折襲ってくる胃の痛みに顔を歪めながら、彼女は午後の業務を何とかこなしていった。