「あ、そんなそんな。背中なんて向けられたら悲しいじゃないですか。
どうぞ座ってください。」

「え…。」

「せっかくホワイトスノーを記事にするのですから、ホワイトスノーを考案したパティシエさんと話しをしてみたいんです。
お付き合い願えますか?」

「あのっ…私…っ大したことは何も言えないんですけどっ…。」

「そのままのあなたで大丈夫です。
…んー…あなたって言うのも何かちょっとよそよそしいですね。
ひなた…さんでしたよね。」

「あ、はっ…はいっ!」

「…随分緊張されてますよね?」

「へっ?」

「リラックス、リラックスですよ。
どうしたらリラックスできますか?」

「えっと…私…結構人見知りでっ…。」

「…そうですか。」


柔らかな瞳をより一層優しく細めて私を見つめる。


「それならば少し砕けた話し方で話しましょうか?」

「え?」

「僕が固苦しい話し方をするから委縮しちゃうんじゃない?
こんな感じなら少し楽なんじゃないかなーって。…どう?」


いきなり砕けた話し方に変わって私は目を丸くしてしまう。


「あ、驚いちゃった?本当はこういう話し方なんだよ。
でもさっきは倉持さんがいたし、仕事で来てるからね。
だけど今は僕と君しかいないし、この方が少し顔がリラックスしてるよ、ひなちゃん?」


にこっといたずらに微笑んで、朝比奈さんはそう言った。