見た目は甘くて軽やか、でも中身は違う。
もちろん甘いものも大好きだけど、それだけじゃない。


…スイーツに対する、純粋で、それでいて強い想い。
朝比奈さんの言葉の端々からそれが伝わってくる。




「あのっ…。」

「ん?なぁに?」

「わ…私っ…頑張りますっ!
朝比奈さんが私に依頼したことを後悔しないような、美味しいケーキ、作ってみせます!」

「…うん、期待してる。
って言ったらプレッシャーになっちゃうのかな?」


笑みを零しながらそう言う朝比奈さん。
私はぶんぶんと顔を横に振った。


「大丈夫です!頑張ります。」

「…無理はしないでね。僕はひなちゃんのそのままの味が好きなんだから。」

「へっ…?あ…はいっ…!」


言われ慣れない〝好き〟という言葉。
…私の味が、なのに…特別な響きに聞こえてしまう。
そうして意識すると、顔が火照る。


「それじゃ、僕はそろそろ帰ろうかな。
ひなちゃんの邪魔したくないし。」

「邪魔なんてそんな…!今日は美味しい時間をありがとうございました!」

「え…?」


朝比奈さんがきょとんと目を丸くしている。
…ん?私また何か…。