どどーんと効果音が聞こえてきそうな目の前の建物を見上げ思ったことは…


・・・学校には絶対に見えない


これはどう見ても

「…宮殿?」

通路の側面には何本もの柱が立っており、正面の玄関らしきところには大きな扉がある。扉の前には2・3段ほど段差があるが少し視線を右へ向けるとスロープが備え付けられていた。

「はは、確かに見慣れていない人からしたらそう感じるよね。
まぁここはエスカレーター式で幼稚舎からみんな一緒だから久々にそんな反応を見てしまったよ」

少し馬鹿にしたような笑いをしながら大山先輩が口を開いた。

なんかこの人本気で嫌いだ。
これはキャラ的なもの?それとも金持ちはみんなこうなの?

「そうなんですね。こんなに立派な建物見慣れていないもので驚いてしまいました」

腹が立っても笑顔は忘れない。それが鉄則。

「さぁ、行こうか」

そう言いながら、迷いなくスロープの方へ足を進めていた先輩の足がピタッと止まり私の方を振り返った。

「愛染さん、流石に校内で犬を歩かせるのは…」

少し言いずらそうに2匹を見てから言った。

「あぁ、そうですね。忘れていました」

鞄の中に入れていた折り畳み可能なかごを取り出し2匹を呼ぶ。

「フー、ムーごめん。少しの間ここに入っててくれる?校舎の中は歩けないんだ。」

きちんと目を見て説明しかごの中に入ってもらった。