どこかにインターホンがあると思うのだが…
今のところ見つかっていない



-ガガー…-



「何?この音…」



どこからか聞こえてくる機械音に耳をすませてみる



『あ、あー…何かご用でしょうか?』



今度はハッキリとした言葉が聞き取れた…が、どこから発されているのかが分からない


キョロキョロしているとフーとムーが門の上を見上げてワンワンと鳴き出した

同じように上を見上げ探してみると
もしかしてこれ?
と問いかけたくなるくらい門と一体化している猫の置物が左右対象に置かれている

よく見ると、左の猫は目が開かれているが口が閉じられており、
その目は太陽の光を反射している
右の猫は、逆に
目は閉じられているが口が大きく開かれているようだ



『関係者の方でしょうか?お名前をお願いします』



何も言わない私に痺れを切らしたのか
またも機械を通した声が聞こえてきた


「あ、すみません
今年からお世話になります
新入生の愛染麗羅と言います」



『少々お待ちください~ガガー…

愛染様、お待たせ致しました
確認が取れましたので
どうぞお入り下さい』


名前を左の猫に向かって名乗ると
またも機械越しの声がし、30秒も経たないうちに
歓迎の言葉と共に目の前の門が音を立てて開きだした



『恐れ入りますが、門を潜った右手に御座います
警備室までご足労願います』


歩みを進めようとしたところで聞こえてきた丁寧過ぎる言葉に
”はい”とだけ返し、門を潜った