つーか今月これで何人目?三人目じゃね?うっわ。早すぎっしょ。女のくせにどんだけ欲求不満なんだよ。

別に理向あみのことなんか全くもって興味の欠片すらないけど。でも耳に入った噂を思い出しながら指折り数える俺。

まだ新学年。2年に上がってから1ヶ月とちょっと。理向あみは先月も二人の男に手を出している。

…おいおい。今月まだ15日しか経ってませんが。2週間と1日。早ぇ。ものにすんのが早すぎる。

俺なんか2ヶ月も続いちゃう超一途もんなのに。まあ彼女ではないけど。


なーんて。

のんきにそんなことを思い、気を逸らしていた下へと再び目を向けてみる。


と。

『(おい。それはやべぇだろ。)』


男が理向あみに手を振り上げて殴る寸前だった。しかもその手はパーじゃなく(パーでも相当やべぇけど)グーの手。

男が女に手を上げるなんか言語道断。たとえそれが最低な浮気性女だったとしても、だ。


咄嗟に俺は口を開いていた。


『おーい。手ぇ上げたらあんた、訴えられたとき金取られんぞー。』