「——っざけんじゃねぇよ!!」


…んだよ。うっせぇなー。

お前がふざけんなっつの。


ぽかぽか陽気。ハルウララ。

校舎と屋上を繋ぐ箱の上で仰向けに日の光を浴びながら授業をサボり睡眠を貪っていた俺は、上がった男の声にチッと舌を打つ。


さっきから上がっている男の声。

浮気しただとか相手誰だとかなめてんのかとかクソ女だとか。最後には死ねって。いやいや。言い過ぎだろ?

普通だったらそう思う。だけどさ?男から罵声を浴びてる女が誰なのかどんな女なのか。姿を見なくても見当がつく。ああ、あいつだろうなぁって。

だからそんなこと思わなくて。


俺は気だるい身体を起こし、男の声だけが未だ上がり続ける方に行き、そこから顔を覗かせた。


『(…やーっぱり。)』


罵声を浴びる女は校内じゃあ結構噂が立ってる女。理向あみ。顔よし。スタイルよし。性格はぶっぶー。男癖の悪い小悪魔女。

そんな呼び名をつけられるぐらい、理向あみは男癖が悪かった。

現に今、声を上げている男も小悪魔女の被害者だ。