そんな最高に会いたくなかった弥生は俺の頬をつつく手を払われて「いったぁー。」とかヤジを飛ばすけど、弥生の白々しさは相変わらずらしい。

じとっ、と甲斐甲斐しく払われた手を気にかけてる弥生を見ていると、暫くして不意にちらりとこちらに向いてかち合った瞳はどこか嬉々として見えて。


「よっくんの短気。」


なーんて、手を払われて拗ねたふりをしてるけど実際、そのセリフのあとに「(で、なんで怒ってんの?なにがあったの?)」そう付け足されているのが幻聴で聞こえてくるからげんなりする。


嫌だ、お前にだけは絶対に言いたくない。

言ったらどうせバカにして笑うに決まってる。女相手にだっせぇー!とか言うだろお前。

なにより弥生にださいとか言われる前に、さっきの自分がどれだけださいかちゃんと自負してる。わざわざそんな自分を人に語りたくない。自虐してどうすんだ。


『うるせぇ。ほっとけよ。』


俺がこうして不機嫌になっている原因がよっぽど気になって、そして面白いネタを見つけたと子供のような無邪気さで(ただし悪意はある)爛々と見てくる弥生にそっぽを向く。

言ってることと表情があってねぇっつーの。


人が嫌な顔をしているのを見て楽しむこいつははっきり言う。死ぬほど性格が悪い。

理向あみも大概だが弥生も相当だ。そういうところでは気が合うと思う……って、いやいや、合われちゃ困る。悪魔二匹にコンビなんか組まれちゃあ世界終了のお知らせ。主に俺のが。

ああ、想像するだけで壊滅的すぎてマジ地獄。いっそ死んだ方がましかもね。