ざっけんなっ!!
くそ、やられた。
ブレザーの内ポケットに手に持っていた俺の携帯を入れた理向あみにチッと盛大に舌を打つ。
そんな俺に理向あみはふふんっとしてやったり顔をしていて、これ以上怒りのボルテージを上げないつもりだったけど——無理だ。すんっげぇむっかつく!!
これが男だったら瞬殺してやんのに、どれだけうざったくても女に変わりはない。
手なんか出せるはずなくイライラが募る、募る、募る。
いつか絶対ぇ泣かせてやる。
ギリギリと奥歯で怒りを噛み締めながら胸中でそう誓って、してやったり顔が未だ崩れない理向あみにガンを飛ばす。
…まあ実際、内ポケットに入れられても取り返せないことはない。俺は男だ。女の理向あみに勝つ以外にない力を持っている。
無理やりにでも両手を押さえつけてしまえばもうこっちのもの。携帯なんか簡単に取り返せる。
だけどそうしないのは、こいつが悪知恵働く小悪魔とかそんな可愛いものじゃなくてもはや悪魔の域を達している女だからだ。
まあまあ平和に過ごしてきた俺のスクールライフっつーものが崩されかねない。
無理やりにして、それをいい理由に教師に犯されかけたとかないこと言われたら俺がいくら否定しても男教師なら理向あみの容姿にまんまとはめられて聞き入ってはくれないだろう。
そんなクソめんどいことは至極ごめんだ。あっり得ねぇ。
だから俺はイライラするしかなくて、流れは常に理向あみ。


