おっいー。ちょっとちょっと、どういうことなのなんで無言なのシカト?ああそうシカトかいい度胸だなふざけんなむっかつく!
マジで死ぬまで家宝にしてくれてもいいぐらい超絶貴重な俺の謝罪の言葉を貰っておきながら、口を動かす様子を微塵も見せない理向あみにイライライライラ。
自分でも短気すぎるだろって自負しているそこが逆撫でられる。
あーくそ、ひっさしぶりに自分から悪いと思って謝ったらこの仕打ち。最悪すぎる。シカトとかねぇわ。こんなんなら謝らなきゃよかった。
謝らずに、理向あみもあのままここから出ていってもらって、そして俺は再び邪魔された昼寝に時間を費やす。
もうそれでよかったんじゃねぇの?あんな泣き顔を見たぐらいでなにプライド捨ててんの、俺。
ちょっと(どころじゃないけど)そこら辺の女達よりも顔ができていて、浮気性で、最低で、口が悪くて、だけど本当は誰よりも強いかもしれない女の——。
『…っ、!』
うっざうっざ。きもいきもいきもい。俺マジきもい!なんで理向あみの泣き顔思い出してんだよ、やめて消去消去!抹殺!
ばばばばっと脳裏に浮かんだ理向あみを素早く削除。なぜだかかあっと紅くなった頬が熱い。あーもう、あんなこと思わなきゃよかった。気づいてしまった。
理向あみにプライド捨ててまで謝ったその理由。
——誰よりも強いかもしれない女が見せた"弱さ"に、惹かれるものを感じたからだ。


