胸くそ悪くなった俺はチッと舌を打って、止めていた足を再び動かした。
と、その直後。
言いたいことは全部言い終えたのか女達の口が止まると、今までずっと黙っていた理向あみが口を開いたんだ。
[言いたいことはそれだけ?わかった。ちゃんと覚えとく。次移動だからもう行くね。]
女らしい高い声で淡々とそう紡がれていく言葉に思わず背を向けた俺は振り向く。こいつ、なに言ってんだと。
弱い奴なら確実に泣いてる。強くても平気な顔して立っていられるはずない、本当に女達の言葉は汚かったんだ。汚くて、酷い。
なのに今の理向あみの声。理向あみよりも背の高い女達の間から見える小さな身体はピンとしている。真っ直ぐ、ブラウンの瞳は汚い女達を見上げていた。
不覚にも男癖の悪い最低な小悪魔女に俺はそのとき瞳を奪われたんだ。
なんだよ、こいつ。超強ぇじゃんって。
普通なら言い返すのに、言い返さない。女達に言わせたいことを言わせて、自分はなにも言わない。自分は傷つけられても、相手は傷つけねぇってか?
[(…そこまで悪い女じゃねぇのかも、な。)]
女達の間を掻き分けて立ち去っていく小さい背中にフッと口角を持ち上げた——過去の俺はまあ騙されたんだけどね。
つい数分前のクッッソ性格悪ぃ理向あみに。


