んーっと伸びをして、息を吐いているこいつは絶対に自分がしたこと——特にツガイに対してしたことに罪悪感とか一切皆無なんだろう。
あーしつこかったとか言っている時点でそれを確信。どこまでも顔だけの女だな。
少しばかりイラッときた俺。
キッと睨んで、もうこんな最低女と関わるのはごめんだとなにも言わず立ち去ろうとする。
と。
「あ!ちょっとまだ帰っちゃダメだよー。」
グイッと腕を引かれ、さらにイラッ!うざいって言葉はこの女のためにあるんじゃねぇの?マジで。
『離せ触んな。』
「いーじゃん風吹翼。」
『名前呼ぶな。』
「はあ?なんでそんな怒ってんの?」
『ムカつくから、お前。』
「…、」
『顔だけよくても性格ブスじゃ意味ねぇよ?』
「…、」
『俺、お前んこと超嫌——…は?』
なんなの、こいつ。
心の底からの本音の"は?"。言葉を言い終える前に理向あみはいきなり無言で俺の横を通りすぎ、校内へと繋がる箱の方へと歩き出した。
予想外のことに暫く頭の上にハテナマークが浮かんだ。けど。
『…っ、』
はっとして、俺は足を踏み出して理向あみの背中を追いかけた。


