小悪魔❤︎アクマ


『お、ま、』

「どしたー?」

『ふっざけ、』

「——許、さねぇ…。風吹翼。」

『あ!?……あ、』


忘れてた…。

理向あみに対しての怒りですっぽん!と頭の中から完全に抜けていた存在。理向あみの"本当"の彼氏、ツガイ。


『(面倒くせぇのがもう一人いたよ~…。)』


ツガイは怒気を孕んだ瞳でギッと鋭く睨んでくる。ただ、その瞳には怒りだけではなく涙がうっすらと浮かんでいて。

その、涙の意味に。

こいつ——と、思わされたけどそれも一瞬。「ふざけんなああああ!!」声を上げながら拳を振り上げてきたツガイにはっとした。




「…っう、」

『悪ぃけど。お前には殴られねぇよ。』


目の前で腹を抱えて蹲るツガイ。一発目は顔。次は腹。ツガイの攻撃は受けず拳と足をくれてやった俺。


こいつの理向あみに対する気持ちは本物だって分かった。

理向あみとは違い、ツガイはマジで理向あみに惚れてたんだって。

だから本気でキレて泣いて。俺に拳を向けてきて。それを打ち負かしてしまった俺は少し悪いことしたなと罪悪感。


…でも。

俺にだってプライドがある。簡単に殴らせらんねぇんだ。