§魂呼びの桜§ 【平安編】

姫は頷いただけで、また物思いへと沈んで行った。





月の精のようなお方……



月明かりの中で、本当に神々しく佇んでおられた……



あなたは、だれ……



お名は……



ご身分は……



わたくしのことを、あなたさまも同じように思うておられましょうか……



扇を眺めながら、わたくしを思うてくれておりますか……



お会いしたい……



そして、わたくしを抱きしめて……



月が昇るたびに、わたくしはあなたさまを思うでしょう……