翌日、姫が目覚めたのは昼過ぎ。
その頃には継母は、もう数人の女房を引き連れて湯治へと繰り出していた。
まあ、起こしてくださればよいものを……
姫は女房にそう愚痴を言ったものの、本当はたいして気にはしていなかった。
昨夜のことばかりが頭を占めていたから。
あの公達のことばかり考えてしまう。
まあ、扇を無くされたのですか
女房が責めるように言った。
ええ
眠れず、そぞろ歩きをしている内に、どこかで落としてしまったらしいの……
姫はそう答えた。
まあ、予備の扇はありますから良いですが
お一人での夜歩きなど、あぶのうございますわ
もう、おやめくださいましね
女房は本当に姫の身を案じているのだ。
その頃には継母は、もう数人の女房を引き連れて湯治へと繰り出していた。
まあ、起こしてくださればよいものを……
姫は女房にそう愚痴を言ったものの、本当はたいして気にはしていなかった。
昨夜のことばかりが頭を占めていたから。
あの公達のことばかり考えてしまう。
まあ、扇を無くされたのですか
女房が責めるように言った。
ええ
眠れず、そぞろ歩きをしている内に、どこかで落としてしまったらしいの……
姫はそう答えた。
まあ、予備の扇はありますから良いですが
お一人での夜歩きなど、あぶのうございますわ
もう、おやめくださいましね
女房は本当に姫の身を案じているのだ。

