鉈を引き抜くたびにビシャッと顔に掛かっても藤壺は拭おうともせず、ただ一心に桜を傷つけた。
そして美しいその姿は、ゆっくりと異形のものへと変わっていく。
目は吊り上り、口元は卑しく歪んで牙が伸び、ちりちりになった髪の中からは二本の角が天に向かって生えた。
赤い瞳は、なおいっそう怪しく輝いている。
そこには喜悦の色すらあった。
オマエサエイナケレバ
オマエサエイナケレバ
オマエサエイナケレバ
桜の幹はずたずたになり、傷口からはとめどもなく赤い血が流れ出る。
ギャッ
ギャッ
悲鳴を上げ続けるタマヨビノサクラ
苦悶するように木がゆらゆらと揺れ始めた。
しかし、鉈を振るう力は緩まることはない。
わたくしの恨み、その身にすべて受け止めよ!

