この暗い牢獄から、釈放される日が。

 明日来るのか、永遠に来ないのかも判らないまま。

 ただ、規則的に落ちる水滴だけが、キアーロにとって無意味な時を刻む。

 痛みに気を失っては、目を覚ます、を繰り返す王子に、彼の精神は、苦痛から一時でも免れ正気を保つために、過去の夢を次々と見せていた。

 そんな王子に、水滴が、こちらが現実だと冷酷に教えてくれるまで。

 毎日毎日、痛みに呻き、あがく。

 ただ喘いで、呼吸するだけの生に何の意味もなく。

 今日もキアーロ王子は、夢を見る。

 そんな彼は、きっと。

 誰からも顧みられないまま、一人。

 牢獄の底で、静かに朽ち果てるはずだった。





 ……そのはず、だった。