「だってお父さんが…」
「俺は…」
蓮がいきなり苦しそうに顔をゆがめる。
「蓮……!?」
「………っ」
いつもの蓮じゃない…っ
「蓮っ!ごめんねっ!辛いなら話さないでいいからっあたしも蓮に聞いてもらったから…っ。今度はあたしが…っ」
どうしよう
蓮がくるしんでる
あたしが聞いたりしたからだ…!
「いい、話せる…」
蓮の乱れた呼吸があたしの胸をしめつけた。
「れん…っ」
「なんでお前が泣きそうなんだよ…。おかしくね?」
いつのまにかあたしの目には涙が浮かんでいて。
「だって………」
「笑えっつったじゃん」
「笑ってるよ!」
「それは笑ってるって言わねぇよ笑うっつーのは前みたいな…」
蓮が口をつぐむ。
「前?」
「なんでもねぇよ」
しばらく沈黙が続いた。
「たしかに俺の父親は金持ちだ」
蓮が静かに口を開く。
「だけど俺はあの家の子供じゃねぇ。」
「え?」
「俺はあいつの愛人の子供だ」

