食堂はとても広くて、だいたいの生徒は食べおわっていた。



「はいあそこでご飯受け取って」

「はい!」

「お箸はそこでとって!」
「はい!」

「で、席ついて食べ始める」



咲季がなんか恐く感じるのは気のせいでしょうか……

冷や汗を流していると背中に大きな衝撃が。


「ひっかりーん!おはよーっ」


後ろから何かに抱きつかれる。

「きゃっ!」

「おはよ?」

くりっとした目であたしを見上げる男の子。



「海く……」

「くん、つけなくていいよーっ!う・み・!」

ほっぺたをぷくっ、と膨らましてあたしの唇に人差し指を当てる。




「う……うみ」

それに負けたようにあたしは小さな声で呼んだ。

「うんっ」


にっこり笑う海は女の子よりはるかに可愛い。

…………………詐欺だ!