廊下を歩くとメイドさん達からかなり見られるあたし達。



ちらりと蓮を見るけど蓮は気付いてないみたいだ。




……早めに帰ってきてよかった!




「ばばぁはこの一階上の最上階の部屋だから。」

「うん…」


今更ながら心臓がどきどきする。


会うんだ、蓮のお義母さんに……




無意識に力をこめた手を見て、再度蓮は覗き込んできた。



「大丈夫かよ?」



首を勢い良く縦に振る。



蓮は壁によりかかって、ため息をついた。




「あいつの言うことは聞かねぇ方が身の為だからな?」

「え、」

「あいつの全ては親父だから」

「………」

「その他には感情なんか持ってねぇから。」



俯いてだけどさらりとそんなことを言うのはやっぱり昔を思い出してるの?



「……蓮はあたしが不安でたまらなかった夜、一緒に居てくれた。話を聞いてくれた。お婆ちゃんのところも一緒に行ってくれた。だからあたし大丈夫だよ。あ、でも…」

「……?」

「私情で一発ほどお義母さんのこと殴っちゃったらごめんね」




蓮が吹き出し、声をだして笑った



「やっぱ光、最高」

「な…なんで?」

「殴られたときのばばぁの顔見てぇし。」



にや、と意地悪く笑いあたしの手をもう一回ひっぱった。

「行くぞ」