震える手で蓮の番号をうつ。



「…………っ。」


発信音が五回ほど鳴った時だった



『……東吾?どうした』

「!」



蓮だ…。
だけど臆病なあたしの口は言葉を発しようとしない。


『東吾?なに黙ってんだよ』

「……………」

『切るからな?』

「…………っ!やだ…っ」


思わず声をだしてしまった。



長い沈黙のあと、蓮が口を開く。



『………………光?』

「…………うん。」

『これ…東吾の携帯じゃねぇの』

「…あたしの携帯じゃ……繋がらないから。」

『国際携帯じゃ…なかったよな』



珍しく蓮もぎこちない。




『で、何の用?』

冷たい言葉。
かける時から覚悟はしてたけど、………やっぱりきついな……



『ひか………』

「あたしが…あたしが好きなのは蓮だからねっ!」

『!』

「初めて好きになったからなんて言ったらいいのかわかんないけど…っ!あたしが一番好きなのは蓮だよっ」

『…光』

「もし、もし……っ蓮があたしのところじゃないとこに帰ると思うと……っ」



顔が涙でぐちゃぐちゃ。



東吾に借りた携帯だって濡れちゃった。