蓮は無表情のまま繰り返した。
「生きてた…」
なんで今まで……
「それもあの人の策略か?」
「あぁ、普通に言いやがった。
“あの女が死んだ振りをするならばお前を息子として迎えると契約したのよ”」
淡々と言うけれど
蓮の瞳には苦しみで満ちていた。
「蓮……」
「母さんは死んだことにされて
国外に飛ばされ、今もどっかの海堂グループで働いてる」
素直に……喜べないのは何でかな
「蓮。」
「今となってはどうでもいいけどあいつは俺が母親を求めてたのを見て笑ってたんだよ」
「……っ」
「あいつが言った。
“あんたを次期海堂グループの上になんかさせるなんて死んでもやだったけど、お父様が言うのだから仕方ないわ。それにねあの女にとって一番たまらないのはあんたがあたしの手によって育っていくことよ!だからわざわざあんたを社長にしてやるの。海外のあの女もそれを見るはずだわ”」
蓮が悔しそうに拳を握る。

