ゴーン


大きな柱時計が時間を知らせる。



「もう五時だっ!夕飯の買い物行かなきゃ!」



「あ!じゃぁ僕が…っ」と海が手を挙げたのを遮るかのようにプルルルルと誰かの携帯電話の呼び出し音が鳴る。



「僕のだぁ……やだなぁ」


海がポケットから携帯電話を取り出して電話にでる




「Hello?」



え…英語ー!?


目の前でペラペラと会話する海を凝視する。


海、外人さんみたいー!!



「海は飛行機が出発する数秒前にとびだしたからな。かなり航空会社に迷惑をかけたんだ」


…海さん、何してるんですか



「あれは忘れられないよ…」

東吾がいつになく遠い目をする。

その横顔は疲労を物語っていた。


「どんなのだったの?」

「僕も父がドイツに滞在してるからそこへ行こうとしてたし、イギリスにもちょっと寄っていこうと思って…海の隣に座っていたんだけど…」





『海、そろそろ離陸するからシートベルトしろ』

『東吾!やっぱ我慢できない!』

『海?』

『ひかりんが危ない!』

『う…』

『降りようっ!すみません!僕達降ります!』

『おいっ!』

『行くよ!東吾っ。いざ!蓮の家へ』




「……とゆうことなんだ」

「お…お疲れさま…」