鷲野……嘘ならもっとましな嘘つけよ……



それに気付かないこいつもこいつだけどな、と隣にいる馬鹿を見てため息一つ。




「蓮、エレベーター乗ろっ!」


ガキみたいにはしゃぐあいつ。


「てめぇは階段でいけ」

「さ…最上階までっ!?無理だよ!」


つっこむとこ、そこなのかよ…


「チャレンジ精神が大事だろ」

「それとこれとは違ーうっ!」



ほんと馬鹿な奴。



でも

二人で住むのを

楽しみ、だとは……


またもや零れる大きなため息。


どこまで鈍いんだよ…




俺、理性保てねぇかも…






「「………………」」

エレベーターに乗った途端、静かになる。


エレベーター内で二人っきり。近くにいるとこいつのシャンプーらしき香りがする。


そんな状況でも無防備なあいつ



ちょっとからかってやるか…




「おい」

壁に手をつきながら、呼び掛ける

「ん?何っ?」

振り返った瞬間、


ガタンッ


あいつを壁におしつけた。


「!」

「ちょっとぐらい危機感持たねぇ?」

「危機感?なんでっ?てかどいてよー!」

「やだ」

「な……!」




少しだけ身の危険を感じたのかあいつが焦った顔をする。



「この体勢なら俺なんでもできるんけど…?」