「ふーん、」
「ありがと、蓮」
「なにが」
「気にしてくれたし」
「別に」
そして後ろをむいて出ていった。
あたしは、そのぶっきらぼうな背中を見て頬を緩める。
蓮は
いつもそうだね
一番意地悪なくせに
一番優しい。
今だって
あたしのこと気にしてくれた
ありがとう
…………蓮
――――……
――…
「はい、じゃぁ昨日言った里帰りについて言ってくれ!では一番前の席から!」
昨日は結局どうするか考えずにおわった。
どうしよう……
「ひかりんはどうすんの?」
海がちょこんとあたしの隣に座って聞いてくる。
「まだ決めてないよ、海は?」
「お母さんが今イギリスにいるからイギリスに行くの」
「そう…なんだ…」
みんな帰る場所がそれぞれあるのに、
そしてあたし達の番になる。
「海堂は?」
「普通に家。」
先生はメモを取りながら、どんどん聞いて回る。
「高崎は?」
「…………」
どうしよう、
あたしどこに帰ればいいんだろう
「俺んち」

