しかし終わりはしなかった


「東吾、すごいねっ!」

「え?」


彼女が僕が今読んでいる本を
指差した。




「これか?」

「うん、すごい分厚くない?」



別にそれ程じゃない




「東吾もさ、無理してるところ ない?」

「この本そこまで分厚くないが」

「本じゃなくて!
日常的に大人っぽいじゃんっ」



大人?



「そんなことない」


「海と同じこと言うなぁ」

「海?」


「さっき海にも疲れないの?って聞いたらそんなことないよって。」


「海が疲れる?」


「いっつも笑顔だから。
無理してるのかなって思った」



彼女は人の気付かないところを 気付く。



僕が大人……か。