山崎side



光。

入隊試験で組を衝撃で揺るがした少年。その名前を副長の口から聞いた時、不覚にもこの胸は高鳴ってしまった。


堅く頑丈な鍵を掛け、胸の底に隠し続けてきた感情が、その名を耳にした瞬間より、一挙に蘇ってきたのだった。


沖田に勝利したという謎の少年。


ここにいる筈のない、あいつと同じ名前の少年が、一体どんな奴なのか。何処まで強い奴なのか。強者に血が騒ぎ、俺はこの目で確かめたくなった。


――話してみたい。


そうは思うのだが、暗く床までの距離が遠い天井裏からは、その“光”の姿をはっきりと見ることが出来ない。


ふと気付いたら、自己主張するように気配を向けていた。土方に命じられた監視という任務も忘れ、本能の命ずるに従ってしまったのだ。


案の定、“光”は俺のあからさまな気配に気づき、降りてくるように催促した。


顔は女と見紛う程であり、本人かと思うほどあいつに似ていた。だが女である光がここに居る筈がない、と湧き上がった疑いを即座に否定する。


あまりにも酷似していたためか、初対面から口調が素になってしまう。自然と警戒心を薄れさせてしまう何かがあった。


裏の筋では“無敵”という名を冠し、最早それが流派の代名詞となっている――乱走刀華二刀流。


そして、酷似している容姿に光という名前。