「うん……分かったよ」


口から零れたのは、昔のように砕けた幼いものだった。だが、それこそが隠し続けた光の本当の口調でもある。


「強がらんでええ。俺の前では、いつものお前でおったらええねん」


「ありがとう、山崎……」


慈しむように頭を撫でられ、光はくすぐったそうに身じろぎをする。だが、華奢だが力強い腕に捕らわれて、逃げることは叶わない。


「阿呆、烝でええ」


「……烝」


クスリと微笑み、光がそっと山崎の名前を口にすると、彼の広い胸に顔を埋めた。目を瞑って耳を済ませば、ドク、ドク……という心臓の鼓動が伝わってくる。


暖かい。
烝はちゃんと生きてるんだ。


至極当たり前のことだというのに、光は思わず嬉しくなって口元が緩んだ。長らく感じることの出来なかった人の暖かさは、光を安心させたのだった。


暗闇に紛れるような黒い忍装束は、不思議と対極に位置する太陽のような、優しい暖かさを連想させる。


堪えきれなかった一筋の涙が頬を伝い、山崎の服に染み込んだ。