新撰組のヒミツ 壱

「……ッ……」


逃げられない。そして、仮に受け止められたとしても、力の入っていない防御では、次こそ力負けしてしまうからだ。


光は、僅かに逡巡して覚悟を決めた。








そして、道場は沈黙に包まれる。


息を呑む音、高鳴る心臓の鼓動が聞こえてしまうかもしれない程、静かに。






カラン。

手から落ちた木刀が、乾いた高い音を出して床に転がる。重量はあるはずなのに、妙に虚しい音であった。