新撰組のヒミツ 壱

先の光の動きは瞬速だった。


目にも止まらぬ素早い沖田の突きを、光は踊るように優雅で無駄のない動きで避け、横から斬り掛かったのだ。


人間の急所、首の後ろ。
もはやこの場にいる誰もが、この勝負が命の危険を孕んでいることを理解していた。


だが、道場の中に漂う圧倒的な雰囲気が、誰一人、それを止めるために声を上げることを一切許さないのだ。


隊士たちはもちろんのこと、組長の原田、手練れである永倉、副長として恐れられる土方でさえ。


「……危ないだろ……」


「――先に喉を狙ったのは貴方ですよ……」


沖田の口調が低く乱暴なもの変貌したことに、僅かな恐怖を抱く光だが、鼻で笑って強気な態度を見せた。


鍔迫り合いが続く。


首の後ろで刀を片手で受け止めた沖田。体勢が不安定で、光は両手で力を込めているため、すぐにでも決着が着きそうになるのだった。