やがて光の考えていたように、長州の兵らが引き揚げていく。


「何もありませんでしたね……」
と、沖田は残念そうに言う。彼を諫めるように「総司」というのは永倉だった。


仲間で話していると、近藤と土方がこちらの方までやってくる。門の警備は終わったというのに、二人の表情は硬いままである。


そんな顔をした彼らは、少し離れた場所にいる山南に何かを伝えると、屯所とは逆の方向に歩いて行ってしまった。




『ああ、遂に』とすぐに悟る。




――しかし気づかない振りをするのだ。
まだ誰も知らない真実を。近藤と土方が会津侯より新たに下される命令を。


これからの壬生浪士組――否、新たに拝命される“新撰組”で生きていくためには、その真実を知ってはならない。










ゆっくりと、しかしながら確実に、壬生浪士組は変革期を迎えていた。