唄うように、まるで睦言を甘く囁くようににこやかに言う。光が言葉を発したその瞬間、道場の中が不気味な程に静まり返った。
言われた沖田、それを聞いていた原田や永倉、稽古をしていた隊士達。発されていた全ての音がこの道場から消える。
ただ皆の心にあるのは「不可能」という一言と、組を馬鹿にされたのではないか、という僅かな怒りであった。
壬生浪士組の天才剣士。そう、相手は巷をも騒がせる沖田総司なのだ。この場にいる殆どの者が勝てた事が無い。
沖田と並んで強いと言われる永倉は、純粋な剣の腕では沖田にも適わない。それほどまでに、彼は天童であった。
それをましてや、細身の美少年が不敵に微笑んで「勝てたら」と、言い放ったのだ。
それは最早、負けることなど一切考えていない自信であった。
呆気にとられた皆が怒りの言葉を発する前に、道場の入り口から、朗々とした低い声が響きわたって来た。
「俺が許可する」
「副長!」「土方副長……!」
「何故あの様な者を――!」
沖田以外の組長を含めた隊士たちが、非難の声を上げてざわめく。
言われた沖田、それを聞いていた原田や永倉、稽古をしていた隊士達。発されていた全ての音がこの道場から消える。
ただ皆の心にあるのは「不可能」という一言と、組を馬鹿にされたのではないか、という僅かな怒りであった。
壬生浪士組の天才剣士。そう、相手は巷をも騒がせる沖田総司なのだ。この場にいる殆どの者が勝てた事が無い。
沖田と並んで強いと言われる永倉は、純粋な剣の腕では沖田にも適わない。それほどまでに、彼は天童であった。
それをましてや、細身の美少年が不敵に微笑んで「勝てたら」と、言い放ったのだ。
それは最早、負けることなど一切考えていない自信であった。
呆気にとられた皆が怒りの言葉を発する前に、道場の入り口から、朗々とした低い声が響きわたって来た。
「俺が許可する」
「副長!」「土方副長……!」
「何故あの様な者を――!」
沖田以外の組長を含めた隊士たちが、非難の声を上げてざわめく。



