その瞬間、なぜか腕に力が入らず、抵抗出来なくなっていた。関節を決められているのだろうか。だが、その割に痛みはない。
眉を寄せて、捕縛術のからくりを探していたが、沖田に道場の中央まで連れて行かれ、既に腕は解放されてしまった。
「さあ……竹刀と木刀。どちらがいいですか、井岡さん」
――やる気満々だな。まあ、そのために連れてこられたのだから、当たり前と言えば当たり前か。
いい迷惑だ……、と毒付く。
「……1つ」唇の端を僅かに緩ませた光が、静かに言葉を紡いだ。「勝負をする代わりにお願いがあります」
「何ですか?」
唐突の申し出に、疑念の色を瞳に滲ませる沖田。光は再び冷たい色を纏う沖田へ、役者のように美しい艶やかさで笑んだ。
「私が沖田さんに一本を取ったら、私をこの壬生浪士組に入隊させて頂けませんか――?」
眉を寄せて、捕縛術のからくりを探していたが、沖田に道場の中央まで連れて行かれ、既に腕は解放されてしまった。
「さあ……竹刀と木刀。どちらがいいですか、井岡さん」
――やる気満々だな。まあ、そのために連れてこられたのだから、当たり前と言えば当たり前か。
いい迷惑だ……、と毒付く。
「……1つ」唇の端を僅かに緩ませた光が、静かに言葉を紡いだ。「勝負をする代わりにお願いがあります」
「何ですか?」
唐突の申し出に、疑念の色を瞳に滲ませる沖田。光は再び冷たい色を纏う沖田へ、役者のように美しい艶やかさで笑んだ。
「私が沖田さんに一本を取ったら、私をこの壬生浪士組に入隊させて頂けませんか――?」



