酷い沖田の物言いに、原田は目を見開き、物凄い勢いで沖田に詰め寄った。すると、沖田は「だって」と唇を尖らせて言う。
「左之は『俺なんかに頭下げるなよ! 同志だろうが!』と、いつも言ってるじゃないですか」
それを聞いた原田は、少しキョトンとしたのだが、直ぐに大口を開いて、豪快に笑い始めた。
「あ、そうだな! 井岡、俺に気遣いなんか要らねえからな」
私は貴方達とは同志ではない……、と声を大にして言い張りたかったのだが、今は関係が無いため、口を噤んだ。
(変な方に話が進んでいるな……)
しかしながら、原田はいきなり連れてこられた、得体の知れない浪士を同志だと見なした。
阿呆なのか。それとも器の大きい人なのか。見方によっては、身分に捕らわれた考え方を嫌悪しているようにも見える。
ただ、紛れもなく強い。
原田左之助と永倉新八という壬生浪士組の隊士には聞き覚えがあったのだ。永倉は二を、原田は十を戴く、沖田と同じ組長の立場であったはず。
市井の噂話を思い出していると、再び沖田に腕を拘束された。
「左之は『俺なんかに頭下げるなよ! 同志だろうが!』と、いつも言ってるじゃないですか」
それを聞いた原田は、少しキョトンとしたのだが、直ぐに大口を開いて、豪快に笑い始めた。
「あ、そうだな! 井岡、俺に気遣いなんか要らねえからな」
私は貴方達とは同志ではない……、と声を大にして言い張りたかったのだが、今は関係が無いため、口を噤んだ。
(変な方に話が進んでいるな……)
しかしながら、原田はいきなり連れてこられた、得体の知れない浪士を同志だと見なした。
阿呆なのか。それとも器の大きい人なのか。見方によっては、身分に捕らわれた考え方を嫌悪しているようにも見える。
ただ、紛れもなく強い。
原田左之助と永倉新八という壬生浪士組の隊士には聞き覚えがあったのだ。永倉は二を、原田は十を戴く、沖田と同じ組長の立場であったはず。
市井の噂話を思い出していると、再び沖田に腕を拘束された。



