思いがけない嬉しい提案に、何度も即座に首肯すると、沖田は光の手を取り、道場に向かって小走りで走り始めた。
隊士達は付いてこなかった。第二の責任者が、沖田の代わりに巡察の報告をしにいくのだろう。確か伍長と言っただろうか。
光は自分が何故ここに連れて来られたのか。沖田共々、当初の目的をすっかり忘れていたことは言うまでもない。
道場の前に来ると、中からは何かを打ちつける小気味よい音と、男性の気迫が籠もった重低音の声が腹に響いてきた。
時々、ダンッ!と言う烈(はげ)しい音が道場を大きく揺らした。その音は、誰かが相手に打ち込む音に違いない。
「皆さん、元気ですねー」
と、沖田は暢気に呟く。
対して、光は響いてくる声と打ち合う音に興奮を抑えることが出来なくなりかけていた。自然と昂揚して、手が柄に延びる。
それを見た沖田はくすくす……、と、まるで女性のような妖艶さで微笑みを零した。
(井岡さん……やっぱり強いんだな。
僕と同じで血が騒ぐのだろうか……)
呑気に光を観察していた沖田は、そう考え、出来ることなら手合わせをしてみたいという願望と懸命に闘っていたのだ。
隊士達は付いてこなかった。第二の責任者が、沖田の代わりに巡察の報告をしにいくのだろう。確か伍長と言っただろうか。
光は自分が何故ここに連れて来られたのか。沖田共々、当初の目的をすっかり忘れていたことは言うまでもない。
道場の前に来ると、中からは何かを打ちつける小気味よい音と、男性の気迫が籠もった重低音の声が腹に響いてきた。
時々、ダンッ!と言う烈(はげ)しい音が道場を大きく揺らした。その音は、誰かが相手に打ち込む音に違いない。
「皆さん、元気ですねー」
と、沖田は暢気に呟く。
対して、光は響いてくる声と打ち合う音に興奮を抑えることが出来なくなりかけていた。自然と昂揚して、手が柄に延びる。
それを見た沖田はくすくす……、と、まるで女性のような妖艶さで微笑みを零した。
(井岡さん……やっぱり強いんだな。
僕と同じで血が騒ぐのだろうか……)
呑気に光を観察していた沖田は、そう考え、出来ることなら手合わせをしてみたいという願望と懸命に闘っていたのだ。



