新撰組のヒミツ 壱

詮索することを諦めた光と、何もなかったように、にっこりと微笑む沖田は、背後に数人の隊士を引き連れて、門をくぐった。


屯所はまるで邸のようであった。本邸に離れ、倉庫……。野太い叫び声が聞こえる奥の建物は道場だろうか。


京の治安を守る、滅多な事では入ることのできない壬生浪士組の屯所。
――人を容赦なく斬り捨てる狼の巣窟。


いい意味でも悪い意味でも、そんな場所に入ることが出来て、光は内心、興味深々であった。


「興味がありますか?」

沖田がそんな光を見て苦笑した。

「隊士の皆さんは、道場にいますよ」

行きます? と柔らかく微笑み、沖田は光にそう提案した。


今の好奇心旺盛な光にとって、その誘いを断ることは、不可能に等しかった。